リフォーム工事を行う時に、一番心配なのは「ちゃんと工事をしてくれるだろうか?」という部分ではないでしょうか?
悪徳業者に出会ってしまうのもそうですが、悪徳とまでも言えないまでも手抜き工事はされないだろうかという心配は当然すると思います。
そもそも、手抜き工事は何故起きるのでしょうか、その原因の一因に建築業界の闇があります。
丸投げ業者とは?
丸投げ業者とは、自分がとった仕事を丸々全て下請けに流す業者です。
自分は現場にも表れず、管理もせずに下請け業者を現場に手配する事だけで利益を得ます。
それってアリなの?
建設業法第22条において禁止されています。
(参考:工事の丸投げ(一括下請負)とは – 国土交通省 pdfファイル)
例外として、民間工事においては発注者(お客さん)の書面による承諾があれば可能となってますが、
「一括で下請けに流しますのでサイン下さい。」
という書類を作成している業者は聞いた事がないです。
例外として認められる場合もあるが、その場合もお客さんへの説明と承諾が必要。
契約した業者と施工した業者って違うの?
あまり一般の方は考えた事がないかもしれませんが、リフォーム工事を行う時に、業者さんと打ち合わせをします。
「こういう設備を付けたい。ここの色はこうしたい。金額はいくら以内に収めたい。」
このような打ち合わせを重ね、業者側から見積書が提示され、承諾すれば契約して工事が始まります。
工事が始まり、職人さん達が訪問してきました。
さて、今来ている職人さん達は、最初に打ち合わせをしていた業者と同じ会社の人間でしょうか?
一部、自社で施工する場合もありますが、多くの場合は違う会社の人間です。
下請け業者を使う事自体は悪い事じゃない
自社で施工出来ない部分を外注に委託する事は普通にある事で、これは別に悪い事ではありません。
規模の大きいリフォーム工事だと、最初に契約をした業者(元請け業者)が、
- 電気を得意とする下請け業者
- 大工工事を得意とする下請け業者
- 内装を得意とする下請け業者
など、工事に必要な業者・職人を手配し、自身は現場監督として現場を指揮・管理します。
これが健全な現場です。
イメージで表すと、
このような形になります。
丸投げ業者が介入すると?
丸投げ業者が介入している現場とは、
お客さんから仕事を受注
↓
元請けが下請けに工事すべてを丸投げ
↓
下請けがそれぞれの分野の業者を手配(孫請け)
↓
孫請け業者は更に自分が受けた分野の仕事を外注に委託(ひ孫請け)
このように工事に必要の無い業者が現れます。
これをイラストで表すと、
このようになります。
上から下へ丸々仕事を流している丸投げ業者は来てもする事がないし、無駄な経費になるので現場にも来ません。
これが丸投げ業者の介入現場です。
問題なのは、そこに現場にも来ない管理もしない丸投げ業者が介入する事です。
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丸投げ業者がいると何が起きる?
丸投げ業者がいる事で様々なデメリットが発生します。
現場がスムーズに動かない
例えば現場で何か不測の事態が起きたり、お客さんの希望により追加工事が必要になったとします。
当然、工程や必要材料が大きく変わり、業者間の請負い金額が変わるような事態になります。
ですが、丸投げ業者を飛び越えて上の業者と直接話を決める事は建築業界の暗黙のルールで良くない事とされています。
現場に来てもいないので現場の事は何も分からないのに、話だけは通さないといけないのです。
だったら、丸投げ業者を抜いて工事した方がスムーズじゃないの?
誰もがこのように考えると思います。
実際に建築現場で働いている人達も、
「あそこの業者抜いた方が話が早いから現場はスムーズに進むのに。」
と、思っています。
実際に施工する職人さんの請負金額が安くなる
何もしない丸投げ業者ですが、お金のやり取りはしっかり間に入って利益をあげます。
お客さんが支払うお金が100万円の工事があったとして、
職人さんの請負金額安いと手抜き工事が起きる
本日のテーマでもあるのですが、職人さんの請負金額が安いと手抜き工事が起きます。
- 使う材料を安くしよう
- 少し失敗したから本当はやり直したいんだけど、経費がかかるからやめよう
- 材料が足りなかったんだけど、見えない場所だから別にいいだろう
- 本当は3日かかる作業だけど、経費節約の為に突貫で2日でやろう
本来必要な請負金額をもらえていないので、このように考え経費を安くしようとします。
このような考えで工事を行えば、手抜き工事が起きるのは当たり前です。
お客さんと職人さんとでクオリティに対しての温度差が起きる
お客さんからしてみると、仮に100万円払っていれば、100万円分の工事のクオリティを求めます。
施工をする職人さんは、本来のクオリティを求めるなら60万円欲しいところを、丸投げ業者の存在で40万円しかもらえません。
するとどうなるか、
お客さんは「これだけのお金払ってるんだから当然ちゃんと工事してよね!」と思ってますが、
職人さんは「この工事をやるのに40万じゃきついよね。いつも通りのクオリティでやろうとすると赤字になっちゃう」。
このように温度差が生まれてしまいます。
「職人さんもプロなんだから、請けた仕事は金額に関係なく100%の力でやってよ!」と思う気持ちもあるのですが、そこはやはり職人さんも人間なので、やはりどこかで手を抜きやすくなってしまうんじゃないでしょうか。
お客さんの支払う工事代が高くなる
現場作業に一切関係のないが利益だけは得ようとする丸投げ業者がいる事で、
「実際に施工する職人さんの請負金額が安くなる」
と、先ほどの説明しましたが、職人さんの請負金額を減らさないようにした場合に、もう一つ考えられる事として
「お客さんの支払う工事代が高くなる」という事が考えられます。
通常、100万円の工事があったとして、
そうすると、工事金額が120万円。
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次の現場からその上の業者と直接取引すればいいんじゃ?
「いなくても現場として何も影響の無い丸投げ業者なら、なんでそこと取引を続けるの?上の会社から直接仕事を受注すればいいんじゃ?」
当然、誰もがそう思うのですが、ここが「建築業界の闇」です。
勝手に丸投げ業者を飛び越して上の業者と取引を始めると、丸投げ業者は面白くない訳です。
今まで右から左に現場を流すだけで、得られていた利益が無くなるので。
そのような行動を取ると、丸投げ業者は全力で邪魔をしてきます(笑)
建築業界は縦にも横にも繋がりが強いので、「あそこの業者、うちを裏切ったぞ!」と触れ回り仕事を干されます。(笑)
その影響力が強すぎるので、基本的にそういう事をやってはいけないというのが暗黙のルールで存在してしまうのです。
法的には、丸投げ業者を飛び越えて仕事をするのは問題ないはずです。むしろそれを邪魔する丸投げ業者の方が法律上問題になる可能性が高いです。
国としても数年前から丸投げ業者を排除するように動いているようですが、まだまだ存在しているのが実情です。
参考:「丸投げ」排除へ判断基準 国交省、くい打ち不正受け 日本経済新聞
ですが、簡単に排除できないのが「建築業界の闇」の部分です。
まとめ
丸投げ業者について説明致しました、
リフォームを頼む時には、そういう丸投げ業者がいない工事がおススメです・・・と言いたいところですが、はっきり言って一般のお客さんそれを回避する事は不可能かと思います。
実際に自宅で工事が始まったとしても、そもそも丸投げ業者は現場に来ませんから、その存在に気が付く事もないはずです。
私も職人として、リフォーム現場に行く事がありますが、「お客さんのとこに辿り着くまでに何社あるの!?」と、驚くぐらい中間業者が存在している事もあります。しかもそれを現場の職人に聞いても誰も何社入ってるか知らないっていう・・・(笑)
ですので、回避は不可能だとは思うのですが、こういう実情があるというのは覚えておいて損はないかと思います。もし気になるようでしたら、打ち合わせ段階で担当者に確認してみたらいいと思います。(濁されて、本当の事を教えてくれるとは思えませんが・・・)
今回の記事はあまり参考にならなかったかもしれませんが、より良いリフォーム工事が行える事を祈っております。
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