【リフォーム業者が教える】前金・手付金は必要?キャンセルしたら返金してくれるの?

リフォームを行う際に、前金や手付金が必要になるケースがあります。

「え?工事が終わったのを確認してから全額払いじゃないの?」

「先にお金払ったら手抜きされそう。」

「着工前にキャンセルしたら返金してくれるの?」

今回は

前金・手付金は必要?キャンセルしたらどうなる?
これを説明していきます。

手付金と前金(内金)の違い

手付金と前金(内金)は着工前に支払うという意味では同じですが、これらは違う性質の物です。

それぞれ説明します。

手付金

手付金にもいくつか種類がありますが、リフォーム工事の契約においては主に、

  • 「証約手付」
  • 「違約手付」
  • 「解約手付」

この3つの意味で使われます。

「証約手付」

「この手付金の受け渡しをもって、この契約が成立した」という証拠としての手付金

「違約手付」

「もし契約違反が起きた場合には、この手付金は没収します」という手付金。

契約違反により、仮に損害が起きた場合には手付金とは別に損害賠償しなくてはならない点に注意。

「解約手付」

「契約が履行されるまでの間に手付金は放棄する事で、契約の解除をする事が出来る」という意味の手付金。

つまり、リフォーム工事の契約時における手付金とは、

「私(お客さん)は今回の工事を責任を持って、あなた(リフォーム業者)と契約しますので、今後私の都合でキャンセルする場合には今回の手付金は放棄します」という意味合いです。

(参考:Wikipedia

前金(内金)

前金とは、単に「支払いの一部を先に払っておく」という意味です。

100万円の工事があったとしたら、

「着工前に20万円前金で払い、残金の80万円は工事後に払います」などです。

手付金の効力は法律に定められているのに対して、前金は法律上定められているものではありません。

補足

あくまでも私が知る限りですが、リフォーム工事においては手付金よりも前金の場合が多いかと思います。

どちらも先に支払うという意味では同じだが、
手付金は法律上、契約の成立や解除権などが定められているのに対して、前金(内金)は単に支払いの一部の先払い。

キャンセルしたらどうなる?

契約後に「やはり気が変わった。」「他にもっと安い業者を見つけた」など、お客さん側から一方的にキャンセルした場合にはどうなるでしょうか。

先に支払いの一部を行うという意味では、手付金も前金も変わらないですが、キャンセルする場合に少し意味合いが変わります。

手付金

契約を解除する事で手付金は全て没収されます。

手付金の没収は契約の解除に対する「罰」としての没収なので、損害賠償の意味ではありません。

つまり、業者側に契約解除により損害が出た場合には、手付金の没収とは別に損害賠償金が発生する可能性があります。

前金(内金)

キャンセルした事のよる損害や契約上キャンセル料が定められている場合には、その金額から前金として払った分を差し引いて計算します。

例として、100万円の工事で前金として20万円払っていた場合に、

  • キャンセル料が30万円であるなら、追加で10万円の支払い
  • キャンセル料が10万円であるなら、先に払った20万円のうち10万円が戻ってきます。
手付金の方は法律で定められているので、より契約に対する責任が重くなっています。
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工事に自信があるなら最後に全額払いでいいのでは?

先にお金を払って欲しいと言われると少し不安になりますよね?

工事をキチンと最後までやり切ってくれれば、こっちはちゃんと払うんだから「先に払ってくれ」って言われるって事は、最後までやり切る自信がないのかな?
このように思う方もいるかと思います。
お客さんが初めてお願いする業者さんに少なからず不安を感じる事は仕方のない事だと思います。
ですが業者側も人間です、
最後までキチンとやり切ったとして、ちゃんと全額お金を払ってくれるだろうか?工事直前になってキャンセルしたいとか言わないだろうか?工事が終わってから減額して欲しいとか言わないだろうか?
このように、少なからず不安を持っています。
色々と事情はあるのでしょうが、工事直前になって「事情があってキャンセルしたい」「気が変わったので商品を変更したい」などが稀にあります。
キャンセルや変更した場合に、損害が出ないのであれば業者側も受け入れられますが、既に商品を発注していたり、職人さんの日程を抑えてしまっていると損害が出ます。
そうならないように、「私は責任を持って、この工事を発注します」という意味で手付金や前金が担保として欲しいのです。
他のサイトを見ると、手付金や前金を業者が要求する理由として、「先に材料を仕入れるから、先にお客さんから材料代として前金が必要」という説明をしているサイトが多かったですが、1件分の材料費も建て替えられないようなリフォーム業者にそもそも工事を依頼したらダメだと思います(笑)

万が一、キャンセルした場合のキャンセル料の一部として

もう一つの理由としてキャンセル料の発生が考えられます。

万が一、契約後にお客さん側から一方的にキャンセルをした場合には業者側からキャンセル料を請求される場合があります。

しかしキャンセル料はお客さんが思っている以上に高額になる場合も多く、それが原因でトラブルに発展する事も考えられます。

先に一部でもお金を受け取っておけば、「キャンセル料は払いたくない」とお客さんが主張した場合でも、完全に取りっぱぐれる心配はない為、業者は前金を設定したがるのです。

業者側は、「軽い気持ちで契約しているのではなく、責任を持ってこの工事を契約します」という担保として手付金や前金が欲しい。
また万が一、キャンセルされた場合に備えて少しでも先にもらっておきたい。
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先にお金を払いたくない。払う金額を減らしたい人は?

「先に一部支払って欲しいっていうのは、業者側の言い分でしょ?」

「ちゃんと工事が完了したのを確認してからじゃないと、払いたくない」

こう思う方もいらっしゃるかと思います。

手付金や前金というのは、法律でいくら必要と金額が定められている訳ではありません。

私が知ってる限りの相場で言うと、

  • 手付金:総額の10%~20%
  • 前金:総額の20%~50%

これくらいかなと思います。
(工事規模や地域の慣例によって変わるので参考までに)

ですが、この範囲じゃなければいけないという決まりもありません。

契約内容は両者の合意によって、法律の範囲内であれば自由に変えられるので、「払いたくない」「払うにしてももっと減らしたい」と思うのであれば、業者側にそのように提案してみたらいいかと思います。

業者によっては臨機応変に減らしてくれたり、無くしてくれたりするかと思います。

もし、手付金や前金に関して納得出来ないのであれば、希望に合う業者に替えたらいいかと思います。

手付金や前金は、両者の合意があれば自由に設定できるので交渉の余地はあります。
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蛇足ながら、私の会社にも前金の設定があります。100万円以下は無し、100万円を超えたら25%以上と決まっているのですが、稀にお客さんの希望により10%程度まで下げる事はあります。

ですが、「前金は1円も払いたくない」というお客さんが前に一人だけいたのですが、そのお客さんはこちらから契約前に断りました。「そこまでこちらを信用出来ないなら、別にうちに頼まなくていいです」と思ってしまったからです。リフォーム工事はお互いの信頼関係が大事です。あまり無茶な要求をすると信頼関係が崩れますのでご注意下さい。

契約内容は業者により様々

契約内容は業者により様々です。当然手付金や前金に関しても業者によって設定金額が変わります。

工事の見積もりをする際には、相見積もりを絶対にするべきですが、相見積もりをした際に手付金や前金がどうなるのかも確認してみてもいいかと思います。

他に比べて安かったり、場合によっては0円でもいいと言ってくれる業者もいると思います。

まとめ

手付金や前金の性質や必要性において解説しました。

お客さんが初めての業者を警戒するように、業者も初めてのお客さんは少なからず警戒しています。

手付金や前金を要求されたからといって、悪徳な業者という訳ではないので安心して下さい。

とは言っても、全額先払いはあり得ないので、全額先払いを要求してくるような業者は辞めた方がいいです

資金繰りが苦しい業者か、お金だけもらって逃げようとしている悪徳業者の可能性がかなり高いです。ご注意下さい。