[業者が教える]外壁塗装トラブルが多い理由は「手抜きがしやすい」

戸建てにお住まいなら10年に1度程度必要になる「外壁塗装」。

実はリフォームの中でも、トラブルが多い事で有名です。

その理由や原因はいくつか考えられますが、一番の多い理由は

手抜きがしやすい工事だから
今回はこれを解説していきます。

外壁塗装はトラブルが多い?

外壁塗装に関してのトラブルは本当に多いのでしょうか?

こちらのグラフをご覧ください。↓ (出典:公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター)

このグラフは「公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターに寄せられた戸建てリフォームのトラブル相談の不具合の箇所をグラフ化したものです。

トラブル箇所が多い5位中3か所に「外壁」が含まれています。

この事からも外壁工事はトラブルの多い工事だと言えると思います。

具体的にどんなトラブルが多い?

外壁塗装に関しての具体的なトラブル内容をまとめてみます。

作業に関してのトラブル

  • 工事後すぐに塗装にヒビが入った
  • 工事後すぐに塗装が剥がれてきた
  • 塗装に色ムラがある
  • 工事後雨漏りがするようになった
  • 養生が不十分で塗料が車やフェンスに付着した

作業以外のトラブル

  • 工事前の挨拶が不十分で近隣からクレームがきた
  • イメージしていた色と違った
  • 金額が高すぎる
  • 追加の費用を請求された

このうち、「作業に関してのトラブル」の原因のほとんどは「手抜き工事によるもの」です。

(単純に職人の技術レベルが低すぎるという事も考えられます。)

では、具体的にどのような手抜き工事をされるのかを次で解説します。

外壁塗装のトラブルはリフォームの中でもかなり多い。
技術の低い職人が施工したからという事も考えられるが、トラブルの原因の多くは「手抜き」によって発生している。

どのような手抜きをされる?

なぜ、外壁塗装工事は手抜きをされやすいかというと、

ひび割れや剥がれの不具合が出るまでに時間がかかる事や(通常数年)、しっかりとした施工をしたのかを完成品を見ただけでは判断できない事が多いからです。

具体的に、どのような手抜きをされるのか

塗りの回数を減らす

通常、下塗り・中塗り・上塗りと3回塗装するところを、中塗りを省略して、下塗りと上塗りの2回塗りにするという「手抜き」があります。

中塗り・上塗りでは同じ塗料を2回塗るのですが、それを1回減らしても一応は完成したっぽく見えます。素人目ではほとんど見分けがつかないかと思います。

洗浄や下地処理を省略

通常は、外壁についている汚れを落とす為に高圧洗浄機を使って外壁をキレイに洗浄するのですが、見えにくい場所などを省略したり、錆や塗料が浮いてきているところを削り取らなかったり、ひび割れ(クラック)を埋めずに塗装を始める「手抜き」です。

汚れの上からや、浮いた錆の上から新しい塗装をしても、その部分は剥がれやすくなってしまいます。

また、ひび割れ(クラック)をしっかり埋めずにいると、その部分が雨漏りの原因になります。

洗浄や下地処理をしっかりしてから塗装したのか手抜きしたのかは、工事が終わってからだと、プロが見ても判別出来ないと思います。(あからさまな手抜きだと判別可能)

ですが、その箇所は数年後に不具合が起きやすいので、トラブルの元となります。

塗料を薄める

塗料をメーカーから決められた量以上に薄める「手抜き」です。

少しくらい多めに薄めても色の変化はほとんど分かりませんが、決められた量以上に薄めるとその塗料の耐久性や性能が落ちます

これも工事が終わってしまえば、薄めた量にもよりますが、プロが見ても分かりません。

シーリングを「打ち替え」ではなく、「打ち増し」する

外壁の建材と建材の間にシーリング(コーキングとも)とよばれる防水材があります。

外壁塗装の際には、これを一度キレイに剥がしてから新しく「打ち替え」るのですが、もとのシーリングを剥がさずに、その上から新しいシーリング材を「打ち増し」する手抜きです。

「打ち増し」だと新しいシーリング材は薄く塗る事になる為、耐久性は著しく下がります。

これも工事が終わってしまうと、剥がさないと判別は不可能です

手抜き工事で業者は儲かる

手抜き工事の全てに言える事ですが、手抜きをする事で「人件費」「材料費」が大幅に削減できるので、手抜きをする業者が後を絶ちません。

また先ほど説明したように、手抜き工事の多くは工事が終わった後に第三者が見ても、「手抜きをしたのかどうか」の判別が非常に難しいです。

この手抜き工事により、外壁塗装ではトラブルが多く発生しています。

手抜きをしたかどうかの判別が外壁塗装では非常に難しい。
また、手抜き工事をする事で業者は「人件費」「材料費」の経費が浮き、儲けが多くなるので手抜き工事をする業者が後を絶たない。

トラブル回避の方法は?

塗りの回数の手抜きは簡単に防げる

先ほど紹介した手抜き工事の中でも、一番業者にとって儲けが増えるのが「塗装の回数を減らす」事です。

2回目の中塗り、3回目の上塗りは同じ色を使う上に、仕上がってしまえば素人から見れば判別できません。

1回分塗装を減らす事で「人件費」「材料費」がかなり削減できます。

ですので、この手抜きを「儲けを増やす常套手段」としている業者も多いのが実情です。

ですが、この手抜きは簡単な方法で防げます。

それは、中塗りと上塗りの色変える事です。

必ずしも同じ色で塗る必要はない為、色を変えてもらえば2回しか塗っていないのか3回塗ったのかが簡単に判別できます。

ただし、全く別の色にしてしまうと、仕上がりが悪くなってしまうので、近い色を指定しましょう。

工程ごとに写真の提出をお願いする

工事中、しっかりと工事をしているのか横に張り付いて業者を見張っているのは現実的ではない上に、あまりにもずっと監視していると、業者も作業がやりにくいです。

ですので、打ち合わせの段階で「記録として残しておきたいから」という理由で工程ごとに写真を撮る事をお願いします。

そうすれば、どのような下地処理をして、シーリング材もしっかり剥がしたか、下塗り、中塗りはしっかりやったかなどを確認出来ますし、証拠として残ってしまうので業者側も(少なくても写真に写る部分は)しっかりと作業を行います。

リフォーム瑕疵保険に加入する

リフォーム瑕疵保険についてはこちらの記事で解説しています。

リフォーム瑕疵保険に加入する事で、工事中に第三者のプロの目が入るので、手抜き工事は起きにくくなります。

また、工事後に不具合が起きた場合でも保険での対応が可能になります。

しかしデメリットもありますので、詳しくは関連記事をお読みください。

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手抜き工事を起きにくくする、いくつかの方法を紹介しました。
しかしそれでも絶対に起きないとは言えないので、一番大切な事は「信用できる業者」に工事を依頼する事です。
信用できる業者を探す為にも、必ず相見積もりは行いましょう。

まとめ

今回は外壁塗装の「手抜き工事」について解説しました。

外壁塗装はリフォームの中でも一番と言っていい程「手抜き工事」が行われやすいです。

また、それが原因で工事後に不具合が起きる事も多いです。

まずは、業者選びが一番大切になってきますので、必ず複数社に問い合わせを行いましょう。