大手ハウスメーカーが少し前に「555万円で家が建つ」とテレビCMをやっていたのはご存じでしょうか?
それは極端だとしても、実際に1,000万円以下で注文住宅は建つのでしょうか、
結論を先に言えば、不可能ではないが「難しいと思います」。
今回は、
555万円のCMとは
555万円で2階建ての家が建つと、アイダ設計という会社が少し前にテレビCMをやっていました。
その破格の値段に、当時家を探していた人には衝撃が走りました。
555万円の家ってどんな家?
555万円の家とはどんな家だったのでしょうか?
建物本体だけの値段
まず、この値段は「建物本体」だけの値段です。
付帯工事は一切含まれていない為、外部の水道工事や外構工事など建物以外の値段は含まれておりません。
2階建てだが、めちゃくちゃ小さい
延床面積は約50㎡です。
参考
通常の建売の戸建 → 100㎡前後
通常の3LDKマンション → 70~80㎡
「3LDKのマンションよりも少し狭いくらいか。2~3人なら暮らせるかな」
面積だけで言えばそうですが、この555万円の家は2階建てです。
1階あたりの面積は半分の25㎡です。
25㎡といえば、ワンルーム~1DKくらいの広さです。しかも階段部分を含めてなので、実質もっと狭いです。
この家の需要はあるのか?
はっきり言って需要は無いと思います。
いくら安いとはいえ、この狭さをわざわざ新築で誰が建てるのでしょうか?
アイダ設計はこの家に需要が無い事は分かっていたと思います。
この衝撃的な値段をみて問い合わせをしてくるお客さんを釣る、ただの餌だったと思います。
今はこのプランはもう無い
当初の目的は果たしたのか、クレームが殺到したのかは分かりませんが、今はもうこの555万円のプランは存在していません。個人的には後者が理由じゃないかと思いますが(笑)
1000万円以下の家のカラクリ
555万円の家のプランはもう存在していませんが、今でも「1000万円以下」で売り出しているプランはいくつかのメーカーに存在しています。
しかし、先ほどの555万円の家の時同様、1000万円以下のプランとは、
- あくまでも本体価格のみ
- 家自体も小さいか平屋
- 使用する材料も全て一番安い物
になる為、必要な広さや使われる設備のグレードを上げたら、簡単に1,000万円は超えます。
プラスで300~400万円は必要
広告で出ている価格が仮に900万円だとしても、
- 建物本体以外の付帯工事
- 家族4人で住めるほどの広さにする
- 使用設備も少しグレードを上げる
このように「快適に暮らせるように」プランを練ると最終的には1,200~1,300万円くらいにはなると思います。
広告で出ている価格は
- 建物本体価格のみ
- 最低限の広さ
- 使用材料は一番安い物
ですので、広告の値段そのままでは快適には住めません。
快適に暮らす為にプランを少し変えると、簡単に1,000万円を超える。
1000万円の家はどんな家?
1,000万円以下の家だと快適には住めないと先ほど言いましたが、上限いっぱいの1,000万円(税抜)で建てた家とはどのような家になるのでしょうか。
(実際の金額や内容はメーカーや立地、お住まいの地域によって変わります。)
最低限の暮らしに必要な付帯工事
まずは家本体とは別になる、付帯工事を考えてみます。
普通に暮らすにあたり最低限必要になる付帯工事は
- 外構工事
- 水道の引き込み工事
- テレビアンテナ
- 雨戸
- 網戸
これらになります。
家の間取りや構造にもよりますが、これらの工事で150~250万円ほど必要になります。
建物本体にかけられる費用は約800万円
付帯工事で150~250万円ほど、必要になると説明をしました。
間をとって200万円だとすると、建物本体にかけられる費用は800万円です。
800万円の家とはどのような家なのでしょうか?
間取りは変えられない
1から設計する予算が含まれていない為、もはや注文住宅と呼べなくなると思いますが、基本的に間取りなどは自分で決められません。
メーカー側からすでに用意されてあるプラン集から間取りを選ぶ形になります。
選べるのは壁紙や建具の色ぐらいになるかと思います。
2LDKの2階建て、もしくは平屋
家の広さは2LDKの2階建て、もしくは平屋です。延床は60~70㎡くらいかと思います。
2人で済むなら普通に住めるかと思いますが、3人以上で済むなら狭いと思います。
設備は最低限かつ安物
水道、電気などの設備も最低限かつ、一番グレードの低いものです。
特に気になると思うのが、台所、洗面、トイレ、浴室などの水回りです。
1,200万円ほどの注文住宅のモデルハウスに行った事がありますが、
水回り設備は「賃貸アパートにつけるやつだろ」と思うくらいの安物でした。
800万円の家だと、それと同じかもっと安いものが使用されると思われます。
耐震性や断熱性も最低限
耐震性や断熱性も期待出来ません。
もちろん、法律上「最低限これ以上の性能が必要」と定められているので、それ以下という事はありませんが、「法律上必要な最低限の性能」と「快適に住める最低限の性能」は意味が違います。
断熱性が低いと夏は暑く、冬は寒くなり、快適に住めないだけでなく、エアコンや暖房器具の使用が増える為、電気代などのランニングコストも増えます。
保証も最低限
法律で定められた最低限の保証はもちろんありますが、大手の注文住宅メーカーだと、その保証以外にもその会社独自の保証があり、長いところだと50年、60年保証などもあります。
実際にどの程度の保証がつくのかは、そのメーカー次第ですが、大手の注文住宅メーカーよりは保証内容が薄い傾向があります。
付帯工事を除いて1,000万円の家なら可能性はある
付帯工事を含めて1,000万円の家は、正直住みやすいとは言えない家です。
ですが付帯工事を除き、「建物本体が1,000万円の家」であれば可能性はあります。
先ほどの付帯工事200万円分を建物本体にプラスしてみます。
100万円でもう少し広い家
先ほどは800万円の家で考えましたが、900万円に予算をあげれば、70~80㎡くらいの広さの家もメーカーによっては可能です。
70~80㎡といえば、戸建てにしては狭いですが分譲マンションと同じくらいなので、住む人数にもよりますが、そこまで不便には感じないと思います。
100万円で設備や断熱性能を上げる
残りの100万円で、設備のグレードアップや断熱性能を上げれば快適さは増します。
ですがこの価格帯の家は、メーカー側から提示された決められたプランを選ぶだけなので、設備のグレードアップや断熱性能の変更が出来るかはメーカーによります。
まとめ
「1,000万円で家を建てる」の定義にもよりますが、当サイトの結論としては、
「付帯工事含めて1,000万円で家を建てる」は、難しいと思います。
「付帯工事以外で1,000万円で家を建てる」ならまだ可能性はあります。あとはメーカー次第だと思います。
ただ、建てる事は可能かもしれませんが、こちらの要望はほとんど叶わないと思った方がいいです。
家を建てるにあたり、この記事が少しでも参考になって頂ければ幸いです。